広告効果が見えない、在庫ロスが減らない…そんなEC運営の課題を解決するのがBIツール。ここではデータ活用による変化を事例で解説します。
多くの中小企業では、日々蓄積される購買履歴やアクセスログを活用するための専門知識やリソースが不足しています。分析業務に人手を割く余裕がなく、結果としてデータを活かしきれないまま放置されてしまうケースも。こうした状況では、正確な意思決定や改善策の立案が難しくなります。
マーケティングツールや販売管理システムなどが部門ごとに独立している場合、データがサイロ化しやすくなります。広告の成果と購買データを一緒に分析できなければ、適切な改善施策を打つのは困難です。全体像を捉えるには、部門ごとに孤立していない横断的なデータ統合が求められます。
異なる部門が独自のフォーマットでデータを管理していると、分析時に整合性が取れず混乱を招きます。例えば「アクティブユーザー」の定義が異なるだけで、施策の効果検証に誤差が生じる可能性があります。分析の精度を保つには、データの整備と管理体制の強化が欠かせません。
Alinomaでは立ち上げ当初「お客様がリピートする仕組み」が整っておらず、CRM施策が実施できていませんでした。顧客の買い回り行動を分析する基盤もなく、限られたリソースの中で適切なツール選定が求められていました。
「うちでのこづち」導入後はステップメール配信を中心にCRM施策を展開。稼働顧客数は前年比130%超を記録しました。LTV向上に寄与する購買傾向を分析し、インナー未購入者に向けたクーポン配信などの施策も効果を発揮しています。
アシックスジャパンでは、店舗・EC・Webサイトそれぞれで顧客データを保有していたものの、統合されておらず分析も困難でした。経験と勘に頼った旧来的なDM施策に依存し、適切なターゲティングやPDCAが実行できていない状況でした。
「Marketing Cockpit」導入により、顧客行動データの統合と可視化が実現しました。LTV向上や離反率改善など、顧客育成に基づく施策が可能に。結果として売上計画比142%、ROI125%を達成し、社内の販促議論もデータドリブンに進化しました。
花キューピットでは、顧客の嗜好や購買傾向に基づく商品開発が求められていましたが、十分なデータ分析環境が整っていませんでした。注文や配達状況のリアルタイム把握ができず、繁忙期の対応に課題を抱えていました。
「Dr.Sum」でのデータ分析と「MotionBoard」による可視化により、会員登録数や売上が向上。現場の即時対応が可能となり、業務の円滑化と効率化を実現しました。全社員がデータを活用する文化が根づき、施策の精度とスピードが格段に向上しています。
事例のようにBIツールを導入することで、複雑なデータの可視化や分析を誰でも直感的に行えるようになります。データウェアハウスに蓄積したデータをBIツールでグラフ化すれば、売上推移や顧客行動の傾向をすぐに把握することが可能です。
リアルタイム分析や部門間のデータ連携も可能となり、意思決定のスピードと精度が大幅に向上します。属人化していた分析業務の自動化も実現できるでしょう。
EC業においてデータは競争力の源泉です。しかし、専門人材の不足やデータの分断、質のばらつきといった課題が足かせとなることも少なくありません。そこで注目されるのがBIツールの活用です。データ基盤を整備し、BIツールで可視化・分析すれば、課題の多くは解決に向かいます。中小企業であっても、工数やコストを抑えつつ効果的な施策の立案が可能です。自社に合ったBIツール導入を検討してみてはいかがでしょうか。
このメディアでは、業務の見える化を実現する中小企業向けのBIツールをまとめています。
業界別におすすめのツールを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
BIツールは70製品近く※1と多くの製品が存在することから、その中で自社にピッタリの製品を見つけるのは難しいもの。
ここでは、分析したいデータの傾向を整理し、業界別におすすめのBIツールを紹介します。
※1 2025年1月編集チーム調べ
※2 参照元:MotionBoard公式HP(https://corp.wingarc.com/security_governance/certification.html)