金融業界では、BIツールを活用することで顧客分析やリスク管理、業務効率化が進み、精度の高い意思決定が可能に。ここではその具体事例を紹介します。
金融業界では、日本版SOX法への対応や保険金不払い問題などを受けて、内部チェック体制の強化が求められています。その結果、事務処理量や監査業務が増え、人的リソースの確保や業務効率化が大きな課題となっています。
金融機関では、部門ごとに異なるシステムやデータ形式が存在し、情報がサイロ化しています。そのため、全社横断的なデータ活用が難しく、迅速な意思決定を阻害してしまうケースが多く見られます。
BIツールの導入に際しては、「費用に見合う効果があるのか」という不安が根強くあります。特に中小金融機関では、導入コストが高く感じられ、具体的な成果イメージが描けないことが導入の障壁になっています。
三井住友カードではデジタル施策のPDCAに1カ月以上かかり、部門間でのデータ共有も困難でした。分析リソースや環境が不足しており、施策の改善サイクルが滞るという課題を抱えていました。
Domoの導入により、サイロ化されたデータを一元管理し、分析のスピードと正確性が向上しました。部門を超えて情報共有が進み、PDCAの迅速化と施策の成果向上(開封率1.4倍・クリック率1.25倍)に貢献しています。
ソニー銀行では、営業報告や経営会議資料の作成に複雑なExcelマクロを用い、担当者によって数値定義が異なるなど、データの属人化と集計作業の負担が大きな課題でした。月次資料の作成に1週間以上かかることもありました。
Domo導入により、データ集計の作業時間を87%削減し、営業・企画部門の意思決定が迅速に。ダッシュボードでの情報共有により社内活用が定着し、外貨預金残高や新規口座開設も増加。業務粗利益は4年間で65%、経常利益は122%向上しました。
武蔵野銀行では、膨大な報告業務がExcelベースで運用されており、データの集約・転記作業に多くの工数がかかっていました。担当者によって集計方法が異なり、属人化も進行。本来注力すべき企画・判断業務の時間が圧迫されていました。
MotionBoardの導入により、営業店とのリアルタイムな情報共有が可能に。報告書の作成・集約・出力を一元化し、業務の効率化を実現しました。煩雑な作業から解放され、戦略立案や分析といった業務へ集中できる体制が整いました。
事例のようにBIツールを導入することで、企業内外のデータを一元管理し、「見える化」を実現できます。顧客ニーズの把握やリスクの早期発見が可能となり、スピーディな意思決定が支えられます。
定型レポートの自動化により事務作業の負荷を軽減できる点も大きな利点です。地方銀行などでも支店単位での業績管理にBIを活用する事例が増えており、PDCAの実践に繋がっています。
金融業界では外資や大手企業を中心にBIツールの活用が進みつつありますが、中小規模の金融機関にとっても大きな可能性を秘めています。情報を資産として捉え、整理・統合することで、部門をまたぐ柔軟な分析と適切な経営判断が可能になります。
初期投資に不安を感じる場合でも、段階的な導入やテンプレートの活用により、成果を実感できるようになるでしょう。
このメディアでは、業務の見える化を実現する中小企業向けのBIツールをまとめています。
業界別におすすめのツールを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
BIツールは70製品近く※1と多くの製品が存在することから、その中で自社にピッタリの製品を見つけるのは難しいもの。
ここでは、分析したいデータの傾向を整理し、業界別におすすめのBIツールを紹介します。
※1 2025年1月編集チーム調べ
※2 参照元:MotionBoard公式HP(https://corp.wingarc.com/security_governance/certification.html)