物流業界では、BIツールの活用により配送効率の向上、在庫最適化、コスト削減を実現する企業が増加中。ここでは課題をどう乗り越えたのか、導入の工夫と改善内容を紹介します。
物流業界では、出荷や在庫、輸送など多種多様なデータが部門ごとに散在し、全体像の把握が困難です。属人的な判断に頼るとミスやロスが発生しやすく、効率化に限界があります。
データを活用するためには、BIツールなどを用いてデータを統合し、誰でも必要な情報にアクセスできる環境づくりが不可欠です。
需要変動が激しい中、AIなどを活用した予測が重要ですが、精度が低いと過剰在庫や欠品を招きます。コストや顧客満足度の低下を防ぐには、人材育成や外部リソースの活用を含む計画的な取り組みが必須です。2024年問題への対応でも、正確な需要把握は避けて通れません。
現場で突発的なトラブルが起きても、月単位の報告体制では改善対応が後手に回りがちです。リアルタイムに情報を共有できる仕組みを整え、素早い意思決定と対策を打てるようにすることが重要です。特にドライバー不足や環境規制強化の影響が大きい昨今、迅速な対応力が求められています。
F-LINEでは膨大な物流データの分析や加工に多くの時間がかかり、情報共有も進まず属人化が課題となっていました。オンプレミスの旧システムではデータ取得に1日以上かかることもあり、迅速な意思決定が困難でした。
SnowflakeとTableauの導入により、データの可視化と処理速度が飛躍的に向上。社内全体にデータ活用が広がり、経営会議での分析や人事戦略など、全社的な意思決定にもBIツールの活用が検討されるようになりました。
ロジスティードでは、膨大な物流データを保有していながらも、有効活用が進まず、社内外への分析サービス提供に限界がありました。可視化とスピードに優れたデータ基盤の構築が必要とされていました。
Domoの導入により、データ受領から可視化・分析までのプロセスを最大97%短縮。CO2排出量の可視化サービス「EcoLogiPortal」などで顧客提案が可能となり、3rd Party Logisticsとしての差別化と新規受注にも貢献しています。
浜松倉庫では、物流品質の高さを営業で訴求する手段がなく、Excelでは膨大なデータの分析に限界がありました。資料作成に時間を取られ、肝心の分析や経営判断に注力できない状況が課題でした。
Qlik Senseの導入で、時系列や全顧客データの高速・直感的な分析が可能に。営業力の強化に加え、資料作成工数が大幅に削減され、分析に集中できる環境が整いました。社内の活用も進み、提案力と業務効率が飛躍的に向上しました。
事例のようにBIツールを導入すると、散在するデータを自動で統合・可視化し、専門知識がなくても分析が可能になります。リアルタイムの情報共有により、需要変動や在庫状況の変化に即応でき、部門間の連携も強化できるでしょう。
AI機能を搭載したツールなら高度な需要予測やコスト分析も行え、中小企業も大企業に負けないようなスピード感で改善を進められます。業務の可視化が進むことで、環境負荷の軽減や働き方改革にも寄与できる点も魅力です。
労働力不足やコスト高騰が続く物流業界では、データドリブン経営が不可欠です。BIツールを活用すれば、必要な情報を迅速に可視化し、経営層から現場までリアルタイムで共有できます。
属人的な判断に頼らず、データに基づいて施策を実行することで、業務効率や顧客満足度を向上させ、競争力を維持・強化できるでしょう。
まずは小規模な導入から始め、継続的にデータ活用を習慣化することで、持続的な成長への道を切り開けるようになります。
このメディアでは、業務の見える化を実現する中小企業向けのBIツールをまとめています。
業界別におすすめのツールを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
BIツールは70製品近く※1と多くの製品が存在することから、その中で自社にピッタリの製品を見つけるのは難しいもの。
ここでは、分析したいデータの傾向を整理し、業界別におすすめのBIツールを紹介します。
※1 2025年1月編集チーム調べ
※2 参照元:MotionBoard公式HP(https://corp.wingarc.com/security_governance/certification.html)