ECサイトの売上が伸びないときは、まず「どこで数字が悪化しているのか」を分けて見ます。
売上が落ちた原因は、アクセス数の減少かもしれません。商品ページは見られているのに購入されていないのかもしれません。あるいは、購入はされていても客単価やリピート率が下がっている可能性もあります。
売上という大きな数字だけを見ても、次に打つべき施策は決まりません。売上を要素ごとに分解し、悪化している指標を見つけることが、ECサイトの売上分析の出発点です。
この記事では、ECサイトの売上分析で見るべき指標、原因別のチェックポイント、分析の進め方、データやツールの使い分けまでを解説します。
ECサイトの売上分析とは、売上の増減を数字で確認し、原因を特定する作業です。
単に「今月の売上はいくらだったか」を見るだけでは、次の施策は決められません。必要なのは、なぜ売上が上がったのか、なぜ下がったのかを説明できる状態にすることです。
基本的には、売上を次のように分解して考えます。
売上 = アクセス数 × CVR × 客単価
ここでいうアクセス数は、主にセッション数やユーザー数など、ECサイトへの流入量を指します。CVRは、サイト訪問やユーザーのうち、どれだけ購入に至ったかを見る指標です。購入数をセッション数で割る場合もあれば、ユーザー数で割る場合もあるため、分析では分母を統一して見る必要があります。
客単価は、1回の購入あたりの平均金額です。
アクセス数が減っているなら、SEO、広告、SNS、メルマガなどの集客に課題があるかもしれません。アクセス数は変わらないのにCVRが下がっているなら、商品ページやカート、決済画面に問題がある可能性があります。購入率は悪くないのに売上が伸びない場合は、客単価や購入点数、リピート率を見る必要があります。
また、定期購入やリピート購入が重要な商材では、LTVや購入頻度も欠かせません。売上だけでなく、粗利、広告費、送料、返品率まで見ることで、「売れているのに利益が残らない」状態にも気づけます。
ECサイトの売上分析では、最初からすべての指標を見る必要はありません。まずは、売上不振の症状ごとに確認する数字を絞ります。
| 症状 | 最初に見る数字 | 次に見るデータ | 改善の方向性 |
|---|---|---|---|
| 売上が下がった | アクセス数、CVR、客単価 | 前月比、前年同月比、流入経路別 | どの要素が下がったかを特定する |
| アクセスが少ない | セッション数、ユーザー数 | 自然検索、広告、SNS、メルマガ | 集客施策を見直す |
| CVRが低い | CVR、カート投入率 | 商品ページ、カート、決済画面 | 訴求、導線、不安要素を改善する |
| 客単価が低い | 平均注文金額 | 商品別、カテゴリ別、セット購入率 | 関連商品提案やセット販売を見直す |
| リピートが弱い | リピート率、F2転換率 | 購入頻度、購入間隔、最終購入日 | 再購入導線や顧客フォローを見直す |
| 利益が残らない | 粗利、広告費、返品率 | 商品別粗利、ROAS、送料、値引き | 広告、価格、商品構成を見直す |
この表のように、売上不振の原因はひとつではありません。全体の売上だけを見て「広告を増やそう」「値下げしよう」と判断すると、かえって利益を圧迫することもあります。
まずは、アクセス数、CVR、客単価、リピート率、利益率のどこに問題があるのかを切り分けましょう。
売上分析では、「どの数字が悪いか」を見つけたあとに、「なぜ悪いのか」まで掘り下げます。ここからは、原因別に確認すべきポイントを整理します。
アクセス数が少ない場合は、流入経路を分けて見ます。
自然検索、広告、SNS、メルマガ、外部サイト、モール内検索など、どこからの流入が減っているのかを確認します。全体のアクセス数だけでは原因が見えにくくても、流入経路別に見ると変化が分かることがあります。
自然検索が減っているなら、検索順位の低下、検索ニーズの変化、商品ページやカテゴリページの内容不足が考えられます。広告経由の流入が減っているなら、予算、入札、広告文、配信面、ターゲティングを見直します。
人が来ていない状態で商品ページだけを細かく直しても、売上への影響は限られます。まずは「来ていない」のか、「来ているが買っていない」のかを分けて考えます。
CVRが低い場合は、購入までのどこで離脱しているかを確認します。
商品一覧は見られているのに商品詳細ページに進んでいないのか。商品詳細ページは見られているのにカートに入っていないのか。カートには入っているのに購入が完了していないのか。離脱している場所によって、改善すべき内容は変わります。
商品詳細ページで止まっているなら、商品の魅力や購入判断に必要な情報が不足している可能性があります。写真、説明文、サイズ、素材、利用シーン、レビュー、配送条件などを見直します。
カートや決済画面で離脱しているなら、送料の表示、配送予定日、決済方法、会員登録の手間、入力フォームの分かりにくさが原因かもしれません。
CVRが低いからといって、すぐに価格を下げる必要はありません。まずは、購入前の不安や手間を減らせているかを確認します。
客単価が低い場合は、購入されている商品の組み合わせを見ます。
単品購入が増えていないか、低価格商品の比率が高くなっていないか、関連商品が一緒に購入されているかを確認します。
客単価を上げたいときは、単純な値上げだけでなく、セット販売、まとめ買い、関連商品の提案、送料無料ラインの設計などが考えられます。ただし、購入金額を上げようとしすぎると、CVRが下がることもあります。
客単価を改善するときは、CVRや購入件数も一緒に見ます。客単価だけが上がっても、購入数が大きく減れば売上全体は伸びません。
リピート率が低い場合は、初回購入後の動きを見ます。
初回購入後にメールやLINEで接点を作れているか、再購入のタイミングに合わせて案内できているか、同じ商品を再購入しやすい導線があるかを確認します。
商品ごとにリピートのされやすさは違います。消耗品とギフト商品では、再購入の頻度も理由も変わります。全体のリピート率だけを見るのではなく、商品カテゴリ別、購入回数別、初回購入商品別で分けて見ると改善点が見つかりやすくなります。
リピート率が低い場合、商品満足度に課題があるとは限りません。再購入のきっかけを作れていないだけの場合もあります。
売上は増えているのに利益が残らない場合は、売上の内訳と費用を分けて見ます。
広告費が増えすぎていないか。値引き率が高くなっていないか。粗利率の低い商品ばかり売れていないか。送料や返品の負担が増えていないか。まずはこのあたりを確認します。
特に広告経由の売上は、ROASだけで判断しない方が安全です。ROASは、広告費に対してどれだけ売上やコンバージョン価値を得られたかを見る指標です。ただし、粗利率やリピート購入を考慮しないと、利益が出ているかまでは判断できません。
広告経由で売れている商品が低粗利なら、売上が増えても利益は残りにくくなります。広告費、粗利、LTVをあわせて見ることで、続けるべき施策かどうかを判断しましょう。
ECサイトの売上分析では、売上だけでなく、集客、購入率、客単価、リピート、利益まで見る必要があります。
売上高は、一定期間にどれだけ売れたかを示す基本の指標です。ただし、売上高だけでは利益が出ているかまでは分かりません。
あわせて見るべきなのは、粗利、利益率、平均注文金額、購入件数です。
粗利は、一般的には売上から商品の仕入れ原価や製造原価を差し引いた金額を指します。送料、手数料、広告費などをどこまで含めて見るかは、社内の管理ルールに合わせて統一しておきましょう。
値引きや広告費を増やして売上を伸ばしている場合は、売上高よりも利益率を重視した方がよい場面もあります。
集客を見るときは、セッション数、ユーザー数、流入経路別のアクセス数、広告クリック数、自然検索流入数などを確認します。
アクセス数が増えても、購入につながらない流入ばかり増えているなら、売上への影響は限定的です。集客分析では、流入数だけでなく、流入経路ごとのCVRや売上も見ます。
「どこから来た人が買っているか」を把握できると、予算や施策の優先順位を決めやすくなります。
購入率を見るときは、CVR、カート投入率、カート離脱率、チェックアウト開始率、購入完了率などを確認します。
GA4などでECイベントを計測していれば、商品詳細ページの閲覧、カート追加、購入手続き開始、購入完了といった流れを確認できます。
この流れを見ることで、購入前のどこで止まっているのかが分かります。商品ページで止まっているのか、カートで止まっているのか、決済で止まっているのかによって、改善策は変わります。
客単価や購入点数を見ると、1回の注文でどれだけ購入されているかが分かります。
平均注文金額、平均購入点数、セット購入率、関連商品購入率などを確認しましょう。商品カテゴリ別に見ると、どの商品が客単価を押し上げているのか、反対にどの商品が単価を下げているのかが分かります。
客単価を上げる施策は、売上向上に直結しやすい一方で、やりすぎると購入率を下げることがあります。購入率とのバランスを見ながら判断します。
リピート分析では、リピート率、購入頻度、F2転換率、LTV、最終購入日からの経過日数などを見ます。
F2転換率は、初回購入者のうち2回目の購入に進んだ割合です。初回購入は取れているのにF2転換率が低い場合、初回購入後のフォローや再購入導線に課題があるかもしれません。
LTVは、1人の顧客が一定期間でどれだけ売上や利益に貢献しているかを見る指標です。広告費をかけて新規顧客を獲得する場合、初回購入だけで採算を見るのか、継続購入まで含めて見るのかで判断が変わります。
広告を使っている場合は、CPA、ROAS、広告経由売上、広告経由の粗利、LTVを見ます。
CPAは、1件の購入やコンバージョンを獲得するためにかかった広告費です。ROASは、広告費に対してどれだけ売上やコンバージョン価値を得られたかを見る指標です。
ROASが高くても、粗利が低ければ利益は残りにくくなります。広告分析では、売上だけでなく粗利や継続購入まで含めて見る必要があります。
売上分析では、数字の定義をそろえておく必要があります。
同じ「売上」でも、税込か税抜か、送料を含むか、ポイント利用分をどう扱うかで金額は変わります。同じ「CVR」でも、分母をユーザー数にするのか、セッション数にするのかで数値は変わります。
定義があいまいなまま分析すると、前月比較や施策比較が正しくできません。
| 決める項目 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 売上の定義 | 税込か税抜か、送料を含むか、割引後の金額で見るか |
| CVRの分母 | 購入数をユーザー数で割るのか、セッション数で割るのか |
| 広告経由売上 | 広告管理画面、GA4、カート管理画面のどれを基準にするか |
| 粗利・利益の見方 | 原価、送料、手数料、広告費をどこまで含めるか |
| 比較期間 | 前月比、前年同月比、施策前後のどれで見るか |
広告管理画面、GA4、カート管理画面では、計測方法や反映タイミングが違うため、数字が完全に一致しないことがあります。
数字がずれること自体が問題なのではありません。どの数字を何の判断に使うかが決まっていないことの方が問題です。
売上分析は、思いついた数字を順番に眺めるだけではうまくいきません。目的を決め、仮説を立て、必要なデータを集め、比較し、施策に落とし込む流れで進めます。
最初に、「何を明らかにしたいのか」を決めます。
売上減少の原因を知りたいのか、広告費の使い方を見直したいのか、リピート購入を増やしたいのかによって、見るべきデータは変わります。
「売上を上げたい」だけでは広すぎます。「カート離脱を減らしたい」「客単価を上げたい」「2回目購入を増やしたい」まで具体化すると、分析しやすくなります。
次に、原因の仮説を立てます。
たとえば、CVRが下がっているなら「送料表示が分かりにくく、カートで離脱しているのではないか」「スマートフォンの商品ページが見づらいのではないか」といった仮説を置きます。
仮説は、最初から正解である必要はありません。どのデータを見れば確認できるかまで考えることが大切です。
仮説が決まったら、必要なデータを集めます。
売上データ、商品データ、顧客データ、アクセス解析データ、広告データ、在庫データ、返品データなどが対象になります。
すべてのデータを最初から集める必要はありません。目的に対して必要なものから始めます。カート離脱を見たいなら、商品詳細ページ、カート、チェックアウト、購入完了の流れが分かるデータが必要です。
数字は、単体で見ても良し悪しを判断しにくいものです。
前月、前年同月、施策前後、商品別、カテゴリ別、顧客ランク別、流入経路別などで比較すると、変化の理由が見えやすくなります。
全体のCVRが下がっていても、スマートフォンだけ下がっている場合があります。全体の客単価は変わらなくても、新規顧客だけ客単価が下がっていることもあります。
平均値だけで判断せず、切り口を変えて比較しましょう。
原因が見えてきたら、改善施策を決めます。
すべてを一度に直そうとすると、何が効いたのか分からなくなります。購入に近いボトルネックから着手する、売上への影響が大きいものから着手する、実行しやすいものから試す。こうした基準で優先順位を決めます。
施策を実行したら、同じ指標で効果を確認します。
商品ページを改善したなら、商品詳細ページからカート投入までの率を見る。カート画面を改善したなら、カートから購入完了までの率を見る。広告を改善したなら、CPA、ROAS、粗利、LTVを確認する。
施策を実行して終わりにせず、数字の変化を確認します。
ECサイトの売上分析では、全体の数字だけでなく、切り口を変えて見ることが欠かせません。
商品別・カテゴリ別に見ると、売上を作っている商品と、利益を圧迫している商品が分かります。
売上上位の商品、粗利率の高い商品、返品が多い商品、リピート購入されやすい商品を分けて見ましょう。
売上だけで見ると好調に見える商品でも、値引きや返品が多ければ利益には貢献していないかもしれません。
顧客別分析では、誰がどれくらい購入しているかを見ます。
RFM分析は、最終購入日、購入頻度、購入金額の3つの視点で顧客を分ける方法です。最近購入した顧客、何度も購入している顧客、購入金額が大きい顧客を分けることで、顧客ごとに適した施策を考えやすくなります。
最近購入したばかりの顧客には関連商品を案内し、しばらく購入がない顧客には再購入のきっかけを作る、といった使い方ができます。
流入経路別に見ると、どの集客施策が売上につながっているかが分かります。
自然検索、広告、SNS、メルマガ、外部メディア、モール内検索などに分けて、アクセス数、CVR、売上、客単価を見ます。
アクセス数が多い経路が、必ずしも売上に貢献しているとは限りません。流入数は少なくてもCVRや客単価が高い経路がある場合、その経路を強化した方がよいこともあります。
スマートフォン、PC、タブレットで分けて見ると、画面や操作性の課題が見つかることがあります。
特にECサイトでは、スマートフォンで商品を見ている人が多い一方で、購入完了率が低いケースがあります。商品画像が見づらい、ボタンが押しにくい、入力フォームが面倒、決済方法が限られているなど、スマートフォン特有の課題がないか確認しましょう。
ECサイトの売上は、季節やイベントの影響を受けます。
前月比だけを見ると悪化しているように見えても、前年同月比では通常の範囲内かもしれません。反対に、前年同月と比べて大きく落ちている場合は、競合、在庫、広告、検索順位、商品需要の変化を確認する必要があります。
セール、キャンペーン、年末年始、母の日、父の日、季節商品など、商材に合った期間比較を行いましょう。
売上分析では、在庫や返品も見落とせません。
売れ筋商品の欠品が続いていれば、機会損失が起きます。反対に、在庫が多すぎる商品は、値引きや保管コストにつながることがあります。
返品率が高い商品は、商品説明やサイズ表記、写真、期待値の作り方に問題があるかもしれません。売上だけでは見えない課題を把握するために、在庫と返品もあわせて確認します。
分析で課題が見つかっても、すべてを同時に改善するのは現実的ではありません。
優先順位を決めるときは、次の3つを基準にします。
1つ目は、売上への影響が大きいかどうかです。アクセス数が多い商品ページ、購入直前のカート画面、広告費が大きいキャンペーンなどは、改善したときの影響も大きくなります。
2つ目は、購入に近い場所かどうかです。商品ページからカートへの移動よりも、カートから購入完了までの離脱改善の方が、短期的な売上に効きやすい場合があります。
3つ目は、実行しやすいかどうかです。大規模なサイト改修が必要な施策より、商品説明の改善、送料表示の見直し、レビュー掲載、メール配信の改善など、すぐに試せる施策から始めた方がよい場面もあります。
改善施策を決めるときは、1つの施策に対して検証する指標を1つ決めておくと、効果を判断しやすくなります。
ECサイトの売上分析は、最初から高機能なツールを使わなくても始められます。
ただし、商品数、顧客数、販売チャネルが増えると、管理画面やExcelだけでは集計に時間がかかりやすくなります。どのデータを、何の目的で使うのかを整理しておきましょう。
| データ元 | 分かること | 向いている分析 |
|---|---|---|
| カート管理画面 | 受注、売上、商品別売上、顧客情報 | 日々の売上確認、商品別分析 |
| GA4 | 流入、ページ閲覧、イベント、購入導線 | CVR、カート離脱、流入経路分析 |
| Search Console | 検索でのクリック、表示回数、CTR、掲載順位 | 自然検索流入の変化確認 |
| Excel・スプレッドシート | 手元データの集計、比較 | 小規模な月次分析 |
| BIツール | 複数データの統合、可視化 | 定例レポート、部門間共有、ダッシュボード化 |
カート管理画面では、受注、売上、商品別売上、顧客情報、配送状況などを確認できます。
日々の売上確認や、商品別の販売状況を見るには便利です。ただし、アクセス解析や広告データ、在庫データと組み合わせて深く分析したい場合は、別のデータとつなげる必要があります。
GA4では、ユーザーがどこから来たのか、どのページを見たのか、どのイベントを発生させたのかを確認できます。
EC計測を設定していれば、商品詳細の閲覧、カート追加、チェックアウト開始、購入完了といった行動も追えます。購入までの流れを見たいときに役立ちます。
ただし、GA4だけで売上分析が完結するわけではありません。受注データ、顧客データ、広告費、在庫、返品などは、必要に応じて別のデータと組み合わせて見る必要があります。
Search Consoleでは、検索キーワード、表示回数、クリック数、平均CTR、平均掲載順位などを確認できます。
自然検索からの流入が減っている場合、どのキーワードで表示やクリックが減ったのかを見るのに役立ちます。ただし、Search Console単体では売上までは分かりません。
SEO経由の売上を見たい場合は、GA4やカート側の売上データとあわせて確認します。
商品数や受注数がまだ少ない場合は、Excelやスプレッドシートでも十分に分析できます。
月次の売上推移、商品別売上、顧客別購入回数、広告費と売上の比較など、基本的な分析は表計算でも可能です。
ただし、毎回手作業でデータを集計している、担当者によって数字の定義が違う、レポート作成に時間がかかる、といった状態になったら見直しのタイミングです。
複数のデータをまとめて見たい場合や、定例レポートを自動化したい場合は、BIツールやダッシュボードの活用も選択肢になります。
たとえば、カート管理画面、広告管理画面、GA4、在庫データ、顧客データを別々に見ていると、全体像をつかむまでに時間がかかります。データを同じ画面で確認できれば、売上の変化に早く気づきやすくなります。
BIツールを使えば売上が自動的に伸びるわけではありません。役割は、データを集める手間を減らし、同じ定義で数字を見やすくすることです。
まずはExcelや管理画面で分析を始め、集計作業が改善の時間を圧迫するようになった段階で、BIツールやダッシュボード化を検討するのが現実的です。
ECサイトの売上分析では、いくつかの失敗が起きやすいです。
KPIは多いほどよいわけではありません。
最初から細かい指標を追いすぎると、かえって判断しにくくなります。まずは、アクセス数、CVR、客単価、リピート率、利益率に絞って確認しましょう。
値引きや広告で売上を伸ばしても、利益が残らなければ継続しにくくなります。
売上高だけでなく、粗利、広告費、送料、返品率まで見ることで、売上の質を判断しやすくなります。
全体のCVRが変わっていなくても、スマートフォンだけ悪化しているかもしれません。商品カテゴリ別や流入経路別に見ることで、課題が見つかることがあります。
平均値だけで判断せず、商品、顧客、流入経路、デバイスなどの切り口で分けて見ましょう。
分析は、改善施策を決めるために行うものです。
数字を見て満足するのではなく、仮説を立て、施策を実行し、同じ指標で効果を確認します。この流れを作れなければ、分析は売上改善につながりません。
商品数や受注数が少ないうちは、Excelやスプレッドシートでも分析できます。商品別売上、月次推移、広告費と売上の比較などは表計算でも対応可能です。
ただし、複数チャネルや広告データを毎回手作業で集計している場合は、ダッシュボード化を検討した方がよいでしょう。
見る内容によって分けるのがおすすめです。
日次では、売上、注文数、広告費、在庫、異常値を確認します。週次では、流入経路別の売上、CVR、客単価、広告効果などを見ます。月次では、商品別、顧客別、リピート率、利益率などを振り返ります。
購入に近いボトルネックがあるなら、まずCVRを見ます。
商品ページやカートで大きく離脱している場合、客単価を上げる施策よりも、購入しやすくする施策の方が効果につながりやすいことがあります。
一方で、CVRが一定以上あり、購入数も安定している場合は、客単価やセット購入、リピート購入の改善に取り組むとよいでしょう。
できます。ただし、データが少ない段階では細かく分析しすぎない方がよいです。
まずは、アクセス数、商品ページ閲覧数、カート追加数、購入数を見ます。十分な購入データがない場合でも、どの商品が見られているか、どこで離脱しているかは確認できます。
必ず必要ではありません。
商品数や受注数が少ないうちは、Excelやカート管理画面でも分析できます。ただし、データが複数の場所に分かれている、毎月のレポート作成に時間がかかっている、担当者によって数字の見方が違う、といった場合は検討する価値があります。
BIツールは、売上を直接増やすためのものではなく、分析しやすい状態を作るためのものです。数字を見る時間を減らし、改善を考える時間を増やすために使います。
ECサイトの売上分析では、売上という大きな数字だけを見ても原因は分かりません。
まずは、売上をアクセス数、CVR、客単価に分けます。必要に応じて、リピート率、LTV、粗利、広告費、返品率も確認します。
大事なのは、数字を並べることではなく、原因を特定し、改善施策につなげることです。アクセス数が少ないのか、購入率が低いのか、客単価が下がっているのか、利益が残っていないのか。そこを分けて見るだけで、やるべきことはかなり絞れます。
最初は、カート管理画面やExcelでも十分です。商品数や顧客数、販売チャネルが増えてきたら、GA4やSearch Console、広告データ、在庫データなども組み合わせて見ていきましょう。
集計作業に時間がかかり、分析や改善に手が回らなくなってきたら、BIツールやダッシュボード化を検討するのも一つの方法です。
売上分析は、一度やって終わりではありません。原因を見つけ、施策を打ち、同じ指標で効果を確認する。その流れを繰り返すことで、ECサイトの改善は進めやすくなります。
このメディアでは、業務の見える化を実現する中小企業向けのBIツールをまとめています。
業界別におすすめのツールを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
BIツールは70製品近く※1と多くの製品が存在することから、その中で自社にピッタリの製品を見つけるのは難しいもの。
ここでは、分析したいデータの傾向を整理し、業界別におすすめのBIツールを紹介します。
※1 2025年1月編集チーム調べ
※2 参照元:MotionBoard公式HP(https://corp.wingarc.com/security_governance/certification.html)