「BIツールを導入したものの、社内に定着せず形骸化してしまった」という中小企業は少なくありません。本記事では、BIツールを使いこなせない5つの原因と解決策、製造業における具体的な活用法を分かりやすく解説します。
多くの企業がBIツールの導入後に「思ったように使われない」という壁にぶつかります。しかし、失敗には共通する明確な原因が存在。ここでは、現場で形骸化してしまう5つの理由とその解決策を解説します。
経営層やIT部門がデータ経営の推進といった抽象的な方針だけで導入を進めてしまい、現場の社員がツールの必要性を理解できていないためです。自らの業務がどのように効率化されるのか、目的が曖昧な状態では浸透しません。
導入前に「週次のレポート作成時間を半減させる」「部門別の在庫ロスを可視化して発注ミスを減らす」など、現場の業務に直結した具体的なゴールを設定します。丁寧な説明を通じて、事前の合意形成を図ることが重要です。
例えば、「株式会社Aと(株)A」などの表記揺れや、部署ごとにデータの入力ルールがバラバラな状態のままBIツールに連携してしまうためです。これではグラフ化しても正しい数字が出ず、結果としてシステムへの不信感に繋がります。
ツールを動かす前に、データの整理・統合を行います。社内の入力ルールをマニュアル化し、整備されたデータが自動で集まる仕組みを整えるアプローチが有効です。
多機能なツールを選んだものの、現場の日常業務に対して操作が複雑すぎたり、確認したい指標と画面のデザインが乖離していたりするためです。業務以外でツールに習熟するまでのステップが多く、敬遠される要因となります。
自社の現場社員のITリテラシーに合わせた、直感的に操作できるツールを選定します。初期段階から完全な画面を作成しようとせず、現場の意見を反映しながら、業務に必要な最小限のダッシュボードからスモールスタートを切りましょう。
BIツールの強みであるリアルタイムのデータ更新や、大量データの自動集計を活かせていないケースが見られるためです。これまでExcelを用いて手動で作成していた単純な売上推移グラフを、そのままBIツールに置き換えただけで運用のゴールとしている背景があります。
Excelの限界を超える使い方を意識します。顧客管理と会計など、複数システムのデータを掛け合わせた自動クロス分析やアラート機能など、BIツールならではの自動化メリットを体感できる業務へ適用していく方針が有効です。
導入時の操作研修を一度きりで終わらせてしまい、運用開始後に現場で生じる疑問を解消するサポート体制がないためです。「使い方が分からない」「画面のカスタマイズ方法を知りたい」といった現場の声を放置すると形骸化が進みます。
社内にBI推進リーダーを1名以上配置する、ベンダーによる伴走サポートを活用するなどの方法があります。また、社内勉強会を定期開催し、成功事例を横展開することで、ツールを活用する文化を根付かせる施策も効果的です。
BIツールは、万能な道具ではありません。導入後に後悔しないために、まずはツールが得意な領域と、他のシステムに任せるべき領域を整理しましょう。
BIツールは、散らばったデータを集約し、グラフによる可視化・分析を行うシステムです。大量のデータをリアルタイムに更新して共有できますが、データの保管そのものや、顧客への自動メール配信などは対応していません。
また、過去の振り返りは得意ですが、将来予測には人間の解釈が必要です。それぞれの強みを理解し、役割を分担させることがデータ活用の効率化に繋がります。
BIツールを社内に定着させ、日々の業務に活かすためには、いくつかの重要なステップがあります。高機能なシステムを宝の持ち腐れにしないために、中小企業が押さえておくべき2つのポイントを解説します。
カタログに書かれているスペックや、経営層の直感だけで選定すると失敗する可能性があります。無料トライアル期間を活用し、実際に日々データを扱う現場のキーマンに操作してもらいましょう。
マニュアルなしでも直感的に動かせるか、毎朝の業務開始時に無理なくデータを確認できるかなど、現場目線で判断してもらうことが、導入後にツールを適切に使いこなすための鍵になります。
製造業の現場においては、必ずしも統計学を用いたような高度な分析機能が必要とは限りません。
それよりも、Excelでは動作遅延を起こしてしまうような膨大な設備ログや生産データを処理できることや、稼働状況をリアルタイムに近いスピードで可視化できる点に価値があります。
本当に高度な分析が必要なのかを一度精査してみましょう。専門スキルが必要なツールより、現場の作業員が直感的に扱え、ラインの異常値や在庫推移を状況に応じて一目で把握できる、扱いやすさ重視のツールを検討するのがおすすめです。
自社に適したBIツールを見つけるには、現場が迷わず使える製造業特化型の視点も欠かせません。当メディアでは、中小製造業での導入実績が豊富な、スムーズにグラフ化できるおすすめのツールを厳選して紹介しています。ぜひ比較検討にお役立てください。
BIツールは、製品ごとに強みや操作性が大きく異なります。ここでは、製造業をはじめ多くの企業で導入されている代表的な2つを取り上げ、それぞれの特徴や現場での具体的な活かし方を解説します。
直感的な操作性に強みがあるTableauは、製造業の複雑なデータ分析に適しています。サプライチェーン全体の在庫可視化や工場ごとの生産効率の比較など、深掘りした要因分析を突き止めたいシーンで強みを発揮。ただし、使いこなすには一定のスキル習得が必要です。
Microsoft製品との親和性があるPower BIは、普段からExcelを使い慣れている製造業の現場にスムーズに馴染みます。
日常の生産管理レポートや、売上実績のリアルタイム共有など、社内インフラと連携したダッシュボード構築に強みがあり、コストを抑えて全社展開したい中小企業に適しています。
数あるBIツールの中から自社に適した製品を見つけるのは難しいもの。
業界によって活用目的も異なり、小売業・ECは顧客・販売データの分析、製造業は生産・品質データの可視化、金融業はリスク管理やコンプライアンス対応など、自社が求める導入効果に合ったツール選びが、データを有効活用できるかを左右します。ここでは、業界別におすすめのBIツールを紹介します。
※1 参照元:MotionBoard公式HP(https://corp.wingarc.com/security_governance/certification.html)