Microsoft製品と連携しやすく、多くの中小企業で導入されている「Power BI(パワービーアイ)」。しかし、実務で使いこなせず形骸化するケースは少なくありません。本記事では定着を阻む原因と定着の秘訣を解説します。
Power BIとは、Microsoftが提供するビジネスインテリジェンス(BI)ツールです。社内のあらゆるデータを集約・グラフ化し、組織の意思決定を迅速化。Excelとの親和性が高く、世界中の中小企業から大企業まで幅広く導入されています。
主な機能は、複数データの自動接続・統合と、直感的なダッシュボード構築です。データを自動で更新するスケジュール機能に加え、Office製品とのスムーズな連携、高度なデータ加工、強固なセキュリティ環境でのレポート共有機能を備えています。
製品ラインナップとして、主に3つを用意。レポートを開発・作成するための無料PCアプリ「Power BI Desktop」、作成したレポートをクラウド上で共有・閲覧する「Power BI Service」、スマホやタブレットからいつでもデータを確認できる「Power BI Mobile」です。
データの加工(Power Query)や、独自の計算式(DAX関数)を使いこなすには、Excelよりも高度な知識が求められます。関数やコードの習得に予想以上の時間がかかり、現場が構築段階で運用を断念する原因になります。
複数のデータを正しく結びつけるリレーションシップの設計が複雑化すると、グラフの数字が合わなくなります。データの構造を理解した設計ができない場合は、エラーが多発して誰も触らないツールになるリスクもあるでしょう。
無料版、Pro、Premiumなど複数のライセンスがあり、共有相手の人数や求める機能によって必要なプランとコストが変動します。全体像を正しく把握して契約しないと、予算超過や機能不足に陥りやすいです。
普段からExcelの表やグラフに慣れている現場では、Power BIの視覚的なグラフを嫌がり、「元のExcelデータで見せてほしい」と要求されがちです。結果として、従来の二度手間のかかる集計作業に戻ってしまいます。
画面を見て、業務のどこを改善すべきかを判断するデータリテラシーが社内に不足していると、綺麗なレポートを作っても見方がわかりません。ただ数値を眺めるだけで終わり、具体的な成果に繋がりません。
ライセンス費や構築の外注費、社員への教育コストをかけたものの、一部の経営層しかレポートを見ていない状態では費用対効果が合いません。全社で活用されず、コストばかりかかる不便なツールになりがちです。
普段からExcelやTeams、SharePointを実務で活用している企業に適しています。既存のシステムとスムーズに連携でき、Teams内でレポートを共有するなど、日々の業務フローの中に自然と組み込むことが可能です。
会計システムのデータやExcelの生産管理表、在庫管理システムのログなどは、社内の別々の場所に保管されている場合が多いでしょう。これらの異なるデータを横断し、多角的な視点で相関関係を分析したい会社に向いています。
営業、製造、総務など、各部署でバラバラに管理していた数値を1つのダッシュボードに統合できます。会社全体で同じ経営目標をリアルタイムに追いかけ、組織間の連携を強めたい企業に適しています。
Power BIのデータモデルを構築・更新し、現場の要望に合わせて画面をメンテナンスできる、社内の主担当者を確保できる会社です。IT知識のある人材が運用を支えられる体制があれば大いに活躍します。
社内のリソースが慢性的に不足し、他の業務と兼任でBIツールを管理しなければならない場合、Power BIの学習負担は重くなる可能性があります。マニュアル不要で誰でもすぐ運用できる、手軽なツールを導入した方が業務に活かせるでしょう。
現場の作業員が、難しい関数やデータ構造の設計を一切せず、クリックだけで感覚的に使いたいという場合は別のツールが適しています。より直感的で、ITスキルを問わないノーコード特化型ツールのほうが現場に好まれます。
初期の導入費用や、社員を研修に行かせるための時間・コストをカットしたい中小企業は、Power BI以外が良いでしょう。まずは初期費用無料で、簡単にレポートが作れるシンプルな製品を選ぶのが無難です。
Power BIは多機能だからこそ、事前の準備が成功の成否を分けます。Excelの延長としてなんとなく使い始めるのではなく、組織の運用体制とデータの受け入れ態勢を整えるためのステップを意識しましょう。
「何のためにデータを見るのか」「どの数字が変動したら現場はどう動くのか」というビジネスのゴールを明確にします。ツールを触る前に目的を固めることで、無駄なレポート作成を防ぐことが可能です。
1つの画面にあれもこれもと情報を詰め込みすぎると、現場は見る気力を失います。経営層用、工場のライン用など、見る人の役割に絞り、今どのような問題が発生しているかが一目で直感的に伝わるシンプルな画面を目指します。
Power BIに連携する前に、社内の入力ルールを統一し、表記揺れをなくすデータ整理を行います。元データが綺麗に整っていれば、Power QueryやDAXでの複雑な加工処理を抑えられます。
一部のシステム担当者だけのツールにせず、社内で定期的な勉強会を開催したり、成功事例を横展開したりします。データを見て判断すると業務が楽になるという成功体験を会社全体へ浸透させましょう。
Power BIは強力なツールの一つですが、DAXやデータモデル設計など専門性が高い分、運用を支える人材がいないと現場に定着しにくい側面があります。
当メディアでは、小売・EC、製造、金融の業界ごとに、ノーコードで現場担当者が使いこなせるBIツールを厳選して紹介しています。「誰に、どのようにデータを利用してもらうか」を起点に、自社に適したツールを探してみてください。
数あるBIツールの中から自社に適した製品を見つけるのは難しいもの。
業界によって活用目的も異なり、小売業・ECは顧客・販売データの分析、製造業は生産・品質データの可視化、金融業はリスク管理やコンプライアンス対応など、自社が求める導入効果に合ったツール選びが、データを有効活用できるかを左右します。ここでは、業界別におすすめのBIツールを紹介します。
※1 参照元:MotionBoard公式HP(https://corp.wingarc.com/security_governance/certification.html)